2016年11月21日月曜日

子どもの洗濯物は多くて大変です

大阪地裁本庁の近くで久しぶりにKさんと会った。彼女はうちの事務所出身の弁護士で、若いのに4人の母。異常に仕事が速い彼女は子育てしながら、ときには子どもを産みながら(出産後数日でもしれっと法廷に現れる!)飄々と仕事をやってのける。

彼女と一緒に取り組んだ事件はどれもタフなものばかりで、思い出はたくさんある。そんな中でも最も思い出深いのは、僕が最新の洗濯機で一度に洗える量がいかに多くて楽をできるか熱く語り終えたとき、興味なさげな顔で聞いてた彼女が放った一言

「洗濯は彼(夫)の仕事なので、私にはどうでもいいです。」

2016年11月15日火曜日

銀河英雄伝説

週刊ヤングジャンプにて連載中の銀河英雄伝説が何とも魅力的で、久々に銀英伝熱が高まっております。しかし、週一連載マンガの進展が速いわけもなく、最後に読んだのが中高生の頃となればストーリーもほとんど覚えてないわけで、先が気になって気になって仕方がない。

藤崎竜氏の描き方は、一世を風靡した封神演義のそれとはかなり違っているけど、描画が緻密かつ迫力がありストーリー展開の絶妙さもさすが。何よりヤンやラインハルト、キルヒアイスといった登場人物の描き方が「そうか!こう来たか!?」と驚き半分納得半分といった感じで、原作ファンの複雑な気持ちを見事にもてあそぶもんだからたまらない。

この見事な冒険活劇となっている点こそが藤崎版の魅力ではあるんだけど、そうすると今度は原作の魅力である兵法、戦略論、戦術論が恋しくなる。

というわけでやっちまいました、原作本の購入。




20数年ぶりに読んでみた銀英伝は本当に面白くて、もう途中で読むのを止められない。止められないんだけど、「あれっ、こんなに政治描写満載やったっけ?」

しかもしかも、この政治描写は現在の日本と大阪をデフォルメしてるとしか思えない。1982年初版?えー?ほんまにぃ?田中芳樹は30数年後の未来を予測してこの作品を描いたのか?もちろんそんな訳はないはずで、彼は恐らく歴史上の独裁や民主主義の腐敗を抽出して、そのコアな部分を作品に載っけただけなのだろう。

そしてこの壮大なSF活劇の終幕が、立憲主義でまとめられることにも驚いた。これこそまさに2015年以降の日本政治を予見していたようではないか。これもまた膨大な歴史学知識に基づいて作品を紡ぐ田中芳樹という作家ならではの、人類史における普遍性を見抜く力なのだろう。
実はその後の作品、創竜伝があまりにもニヒリスティックにその時々の政治情勢を揶揄するのに食傷気味になって途中で読むのを止めてしまったのだけど、ここ最近の彼の作品にはそういう毛色が全くなくなってしまったことが気になっている。

2016年11月9日水曜日

アメリカ大統領選挙

昨夏、知人からの紹介で一晩だけホームステイを受け入れた。

彼女はボストンの大学に通う大学生。ついこないだ大学生になったばかりなのに、すでにノーム・チョムスキーの講演会に2度も参加し、大統領候補バーニー・サンダースやウォールストリート追求の騎手エリザベス・ウォーレンとも直接会ったことがあると言う。おそるべしボストン。なんだかんだ言っても、やはりアメリカ政治の中心地は東海岸だと思い知らされる。

バーニー・サンダースの大統領選撤退が事実上決まったとき、思わず泣いてしまったという彼女。彼女の父親ももともとはバーニーを支持していたが、民主党の大統領候補がヒラリー・クリントンに決まるや否や、なんとトランプ支持に変わったそうだ。

「なんでバーニー支持からトランプ支持に変われるんだ?両者はまるで正反対じゃないか?」

という僕の質問に対して、少し考えた後の彼女の答えは、

「それだけヒラリーが嫌いな人がいるっていうことなの」

いわゆるエスタブリッシュ(支配者層)嫌いがアメリカでかつてなく広がっているというのは、どうも間違いないようだ。確かに僕が在米していた2011〜2012年当時も、それはすでに感じられた。

「でもトランプは、『メキシコ人は泥棒だ』とか『イスラム教徒はテロリストだ』とか酷いことを言うじゃない。君のお父さんはそれには平気なの?」とさらに食い下がった。
男手一つで彼女を育て上げた父親は、自分自身が裕福でないにもかかわらず、ホームレス支援のボランティアなどを熱心にする人だと聞いていたので(父親と一緒にホームレスへの炊き出しを手伝いながら「うちより良い物食べてるじゃない」と子どもながらに思っていたそうだ)、そんな人がトランプを支持する姿が想像できなかったからだ。

それに対する彼女の答えは、

「あの街(オハイオ州シャロンセンター)の人たちは誰も、実際にはメキシコ人もイスラム教徒も会ったことがないから、そういうことをあっさりと信じてしまうの」

というものだった。それが事実だとすれば、今のアメリカは想像していた以上に深刻だ。また、日本にも同じ現象が起こりうるという意味では本当に恐ろしい。


ところで、まさに典型的な白人貧困層の彼女がどうしてボストンの有名私立大学に入学することができたのかが気になって、そのことも尋ねた。連邦政府の給付型奨学金を得ることができたので、大学を卒業するまでの学費は保証されているそうだ。酷い環境の中から這い上がってきた優秀な学生にだけは急激に手厚くなる良くも悪くもアメリカ的な競争システムは、這い上がろうとする者にも冷たい日本型システムよりはベターなんだろうか?




2016年11月8日火曜日

ミサイルという兵器

古 いMACからデータ移行作業してたら見つけた2006年の映像。イスラエル軍がレバノン南部のカナ村に侵攻してきたとき、村で一番大きくて丈夫な鉄筋コン クリートの建物に避難した20数名が、戦闘ヘリの発射したミサイル1発によってみな殺害された。彼らを埋葬する共同墓地と空爆現場で撮影した。






6枚目の写真中央に写っているグシャグシャの鉄の板は、この子たちを殺したミサイルの破片。試しに持ってみると、わずか1メートル四方足らずの板が20㎏ くらいあり、重くてなかなか持ち上がらない。爆風とともにこんなものが紙切れのように飛んできて人の体を切り裂く、それがミサイルという兵器だと実感した瞬間。

建物のがれきはすでに片付けられていたけど、その跡地からミサイルの威力をうかがい知ることはできた。





2016年11月4日金曜日

大阪に対する信頼

アメリカ人の友人が泊まりに来た。

関空で買ったSIMカードが機能しないということで、近所のドコモショップに行った。英語の出来る人がいないので、わざわざ別の店(本社?)に電話つなげて対応してくれたそうだ。SIMカード自体はドコモの製品ではないので本来彼らが対応する義理はないのだが、電話越しにいろいろ指示して試してくれて、な んとか通信機能だけは使えるようになったとのこと。結局、電話できるようになってないのだけど、彼女はもの凄く満足して帰ってきた。

昨日も彼女は1人で伏見稲荷に出かけていった。その近くの食堂で昼食をとった後、そこのおっちゃんだかおばちゃんだかと1時間もしゃべってきたらしい。どうやって?と尋ねると「ほとんどジェスチャーで!」とのこと(笑)

どこでもみんな親切だから全く困ることはないと言って、毎日嬉々として1人で出かけていく。

無名の庶民の自然体の思いやりが無数に積み重なり、日本や関西に対する信頼を少しずつ地道に形作っていく。しかしSNS時代のいま、市場寿司のような店がたった一店舗あらわれるだけでこの街に対する信頼が簡単に崩れてしまう。そしてその不利益を被るのは、われわれ大阪府民みんなだろう。