2016年12月1日木曜日

「亡くなったら口座が凍結されるから〜」にご注意

相談者依頼者が「ネットにそう書いてありました」と言われたとき、僕はたいてい「それは誰が書いたものですか?弁護士ですか、弁護士以外ですか?」 と尋ねます。そうすると、大概の人は答えられません。著者が何者か確認していないということは、その情報の確度を全く検討していないということです。

相続問題をはじめ法律問題は基本的にどこまで行ってもケースバイケースだから、こういうときはこうなります、こうすれば良いという文章を書くのはとてつもなく難しい。だから弁護士の書くブログは、正確を期そうとするばかり、制度や事例の紹介だけの面白くないものになりがちなのでしょう。

他方、ライターさんが書いたこの記事は面白いし、読ませるし、親が亡くなったときにはいろいろ気をつけるべきことがあるという問題意識はとても良いと思う。けど、いかんせん内容が不正確です。

「父急死で預金が下ろせない!「口座凍結」の恐怖」ダイヤモンド・オンライン 西川敦子著

銀行窓口で名義人が死んだことを言っちゃったらめんどくさいことになるよ-、これは僕も必ず言います。ここにはそこまでは書いてないけど、「だから先に下ろしとけ言われたんです」という話をよく聞きます。それがいいかどうかは場合によるから、なかなか難しいところです。

親が亡くなった後に必要となる諸費用を生命保険使って横に避けておく方法も有用だと思う。ただし、それを勧めるかどうかと言えば、そのご家族の関係次第ですよね。
「遺産分割協議書を作成するには相続人全員の実印が必要」!?いやいや、その協議書の用途によるやろ。

「もっとも「成年後見制度」を活用すれば話が別だ」!?間違いとまでは言わないけど、それまで親が亡くなって口座凍結されたときの話してたのに、話がずれてるやん。
でもまあ、成年後見制度の活用は確かに大事です。
 
極めつきが「あらかじめ親に借金しておくこと」!?それ親の金を預かって代わりに支払いしてあげてるだけやん。何でわざわざ借金して立替払いして死後精算なんてめんどくさいことする必要があんのよ!?後々きょうだいと揉めないためにそういう手法をとる言うんやったら、葬儀費用に親の金使ったらアカンよね。 葬儀は喪主が出すもんなんやから。

いろいろ気になったところがあったので難癖つけてしまいましたが、こういうところが弁護士のライターさんに及ばない理由なのかもしれませんね。




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