【相談者本人の了承を得て書いています】
先日、かなり昔の依頼者から相談の電話をもらった。給与の未払を巡るトラブルだ。
弁護士は法律の専門家だということは、世の多くの人が認識している。しかし、法律の専門家ということは法制度の専門家だということでもあり、各種トラブルに対応する公的制度に精通していることも意味する(また精通してなければならないことも意味する)。
給与の未払と言えば、相談する先は労働基準監督署だ。法律相談の機会をもって事情を聞き、その上で労基署に行くこととそこで相談すべき内容をアドバイスするのが通常だろう。しかし彼は切羽詰まってるし、わざわざ労基署に行けと言うためだけに法律相談のアポイントを作るのは迂遠だ。それになにより労基署はじめ役所の窓口は、担当者によって当たり外れが大きいので、彼1人を行かせてきちんと対応してもらえるかどうかが心配だった。
そこで今回はかなりイレギュラーだが、以前の依頼者である彼自身のことを既に知っているということもあり、出張法律相談扱いで労基署で待ち合わせて、労基署への相談に同行することにした。幸いその日の担当者はすごく良い人で、労基署との相談はさくさく進んだ。
労基署を出てから少しだけ、僕が彼から依頼を受けた事件の後に彼がどんな人生を送ってきたのかを教えてくれた。それなりに順調に暮らしているようで、そんなことを話してくれたことがとても嬉しかった。
ここのところ、ずいぶん昔の依頼者が連絡をくれることが続いている。インターネットが発達したおかげで、いま現在の國本の連絡先は検索して見つけること自体は至極簡単だ。わざわざ連絡先を調べて、國本に相談しようと思ってくれることが何より嬉しい。弁護士冥利に尽きるとはこのことだと、つくづく思う。
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