週刊ヤングジャンプにて連載中の銀河英雄伝説が何とも魅力的で、久々に銀英伝熱が高まっております。しかし、週一連載マンガの進展が速いわけもなく、最後に読んだのが中高生の頃となればストーリーもほとんど覚えてないわけで、先が気になって気になって仕方がない。
藤崎竜氏の描き方は、一世を風靡した封神演義のそれとはかなり違っているけど、描画が緻密かつ迫力がありストーリー展開の絶妙さもさすが。何よりヤンやラインハルト、キルヒアイスといった登場人物の描き方が「そうか!こう来たか!?」と驚き半分納得半分といった感じで、原作ファンの複雑な気持ちを見事にもてあそぶもんだからたまらない。
この見事な冒険活劇となっている点こそが藤崎版の魅力ではあるんだけど、そうすると今度は原作の魅力である兵法、戦略論、戦術論が恋しくなる。
というわけでやっちまいました、原作本の購入。
20数年ぶりに読んでみた銀英伝は本当に面白くて、もう途中で読むのを止められない。止められないんだけど、「あれっ、こんなに政治描写満載やったっけ?」
しかもしかも、この政治描写は現在の日本と大阪をデフォルメしてるとしか思えない。1982年初版?えー?ほんまにぃ?田中芳樹は30数年後の未来を予測してこの作品を描いたのか?もちろんそんな訳はないはずで、彼は恐らく歴史上の独裁や民主主義の腐敗を抽出して、そのコアな部分を作品に載っけただけなのだろう。
そしてこの壮大なSF活劇の終幕が、立憲主義でまとめられることにも驚いた。これこそまさに2015年以降の日本政治を予見していたようではないか。これもまた膨大な歴史学知識に基づいて作品を紡ぐ田中芳樹という作家ならではの、人類史における普遍性を見抜く力なのだろう。
実はその後の作品、創竜伝があまりにもニヒリスティックにその時々の政治情勢を揶揄するのに食傷気味になって途中で読むのを止めてしまったのだけど、ここ最近の彼の作品にはそういう毛色が全くなくなってしまったことが気になっている。
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