2016年3月8日火曜日

サウジ初の女性政治家 地方議会選で選出

http://www.bbc.com/japanese/35089901
BBCニュース日本版より

とある英語学校に通っていたとき、クラスメイトの約半数はなぜか、サウジアラビアからの若い学生たちだった。さらにその半数は既婚者子持ちの女性 で、夫の留学に伴って渡米してきたとのことだけど、みな一様に最低でも修士号とグリーンカード、できれば博士号とアメリカ国籍を取得して帰りたいと言って いた。途上国の出身者ならともかく、経済的に発達しているサウジの子たちがあんなにも野心的であることに驚いた。ヒジャブを被ってて全身黒ずくめで、時間 になったら廊下にマットを敷いてお祈りしてと見た目は保守的なんだけど「夫を支えるために」って感じの人はいなかった。

クラスで家族についてディスカッションしたとき、あるサウジの子が「夫がもう何人か子どもがほしいと言ってるけど、家事も育児もほとんど何もできへんくせ に何言うてんねん!生まれた子供の世話は誰がするおもてんねん!アホか!?」とまくし立てたら、イタリア人女性が「そうそう、うちの夫も子どもでサッカー チーム作りたいとかぬかしとおる!頭おかしいんちゃうか!?」と大盛り上がりし、僕ともう1人の日本人男性は黙ったまま小さくなって座ってたこともあった。

1人だけヒジャブを被っていない女子学生がいた。格好も民族衣装ではなく洋服の普段着だ。大家族の末っ子で、女性だからと特別視しない父親の下、自由闊達 に育ってきたらしい。スキニーデニムを買ったんだと嬉しそうに話していた。サウジでは体のラインが出るような格好で女性が外に出るのは禁止されているか ら、当然のことながらスキニーパンツを履いての外出は違法。自由な気風の自宅内とそれと真逆のサウジ社会との間でストレスを感じながら暮らしてきたこと が、彼女の話の端々から感じられた。

  朗らかで、とても知性とユーモアに富んだ人で、彼女の話はいつも面白楽しかった。最も印象に残っているのは、彼女の友だちで一番の美人がお見合いをした 話。家族以外の男性に素顔をさらしてはいけないという慣習に基づき、奥ゆかしいその友人はお見合いのときも顔を隠していた。そのため見合い相手の男性はそ の大人しいキャラからつまらない女だと判断し、結婚を断ったとのこと。彼女はその男性のことを「すごい美女と結婚するチャンスを逃したアホな男だ。アイツ は本当にアホだ」と罵っていたけど、「外見がまったく分からないんだから仕方ないよね」と僕はその男性に少し同情した。

以来、1度も行ったことのないサウジアラビアで暮らす人たちに、何となく親近感を感じている。選挙権が法律上認められたとはいえ、女性が投票することが実 質的にいろいろと制限されていたらしく、かなりの男性票も獲得しないと当選しないと言われていた選挙で、しかも女性選挙権が初めて認められた選挙で、数人 とはいえ複数人の女性当選者が出たのはなかなかの快挙なんじゃなかろうか。願わくば、元クラスメイトたちがあの素晴らしい個性を自由に発揮できる社会へと 一気呵成に向かっていくきっかけに、今回の選挙がなってほしいと思う。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。