2016年10月27日木曜日

交通事故に遭ったときに一番大事なこと その3〜客観証拠を保存する

「証人がいるんです!」
弁護士に相談したことがある方の中には、こう言った後にそのまま証人の話をスルーされた人もけっこういるんじゃないでしょうか。僕は相談者に消化不良のまま帰っていただくのが大嫌いなので、いつもはっきり言います。

「この国の裁判官は、証言と証人は証拠だと思っていません」

証言が証拠にならないという趣旨ではありません。証言証人が唯一の証拠であれば裁判にはまず勝てない、それに頼るのはあくまで最後の手段であると言いたいのです。

したがって、交通事故に遭ったときも何より大事なのは、事故直後に事故状況を客観的に保存しておくことです。そのためにまずやるべきことは、警察官に来てもらって事故状況を記録してもらうことです。事故の相手から「こんなのは大したことないから警察を呼ぶまでもない」 などと提案されることもありますが、その口車に乗るとまあだいたいえらい目に遭います。その場で警察を呼んでおかなければ、事故状況どころか、交通事故が起きたという事実そのものを証明できなくなってしまうからです。

警察官を呼んで記録を作ってもらえば十分かというと、そうでもありません。警察官にも能力差があるし、彼らが作成してくれるのは最低限の記録なので、後に相手と紛争になったときに警察の資料を取り寄せても自分の言い分をぜんぜん裏付けてくれないということはざらにあります。
なので、双方の車を移動させる前の事故が発生したままの状態の車や周辺の状況、車の破損具合などは自分自身で写真を撮っておいた方が良いでしょう。 トラブル予防という観点では、ドライブレコーダーを車に設置するのが理想的です。

とはいえ、何が裁判や保険会社との交渉で効力を発揮する客観証拠になるうるのかは、なかなか判断がつかないでしょう。だから僕ら弁護士はみな、何にもトラブルになっていなくても交通事故が起きたらとりあえずすぐに相談に来てくれと言うのです。事故直後に何を保存しておかなければならないのか、今後どうなっていくのかだけでも話を聞いておいてほしいのです。

なお、交通事故にありがちなトラブルを分かりやすく紹介した本として、これを超えるものはまだ見たことがありません。著者の弁護士さんとは全く面識がありませんが、交通事故の相談に来られた方にはもれなくこの本を読むことをおすすめしています。

自動車保険金は出ないのがフツー (幻冬舎新書) 加茂隆康著












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