この時代に生まれて 声を上げずにいるのなら
この時代に生まれた 子どもたちに何を誇るのか
脚本家の小鉢誠治さんが書き下ろしたこの歌詞が、アメリカの思想家ノーム・チョムスキーの言葉と重なる。「アメリカでは独裁権力下で暮らす人々のように政権批判をしたからといって投獄されたり殺されたりすることもないのに、なぜ言うべきことを言わないのか!?」
憲兵役を演じた篠原さん(篠原俊一弁護士)いわく、「彼(憲兵)はそれが正しいと思って自分の仕事をしただけ」。映画「白バラの祈り」でナチスの検察官を怪演した俳優もインタビューで全く同じことを言っていた。「彼は自分の仕事をしただけ」。
「Ordinary Men」(普通の人々)という本がある。残虐行為を行ったナチス兵士たちが、けっして特別な悪人だったわけではなく、あくまで普通の人々だったことを論証した本だ。
映画「スイングキッズ」では、ナチスが青少年期特有の自己肯定感の低さにつけ込んで、思想的に取り込んでいく手口が描かれている。権力者が自分自身に対する批判から目をそらさせ、自らの利益を確保するためにヘイトスピーチが極めて効率的であることは、残念ながらユーゴ紛争でも再実証されてしまった。
どの街にどんな境遇で生まれた子であれ、すべからく自分がまぎれもなく大切な存在だという自己肯定感に満ちた日々を送る、それがこの大阪で実現可能だと教えてくれたドキュメンタリー「みんなの学校」。木村泰子校長は言う。「全ての子に学習権を保障したいねん。学習権を保障するいうのは全ての子ひとりひとりに居場所があるいうことや」。
在米中にうちの子が通っていたプリスクールがまさにそれで、一人ひとりの個性、自主性を何よりも大切にしていた。正門には大きく"Education for Peace"と掲げている。自分を大切にする子たちは他の人たちも大切に出来る。
個人の尊重という思想は、アメリカ憲法の誕生によって単なる思想から法制度に進化した。その根本理念を受け継ぎそれをさらに進化させた日本国憲法は、国内外における未曾有の戦渦を経て誕生した。
この時代に生まれて 声を上げずにいるのなら
この時代に生まれた 子どもたちに何を誇るのか
制作上演に100人以上の出演者スタッフが関わり、3000人弱のお客さんに観劇された大阪憲法ミュージカル2016「無音のレクイエム」。その問題提起はどこまでひろがっただろうか、広がるだろうか。
http://osaka-musical.webnode.jp/
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