僕の英語にブレイクスルーが未だに見られないことは、前回書いたとおり。しかしただし、スピーキングに関してはすこーしだけ飛躍が見られた時期もある。
渡米したのが2011年6月下旬。ESLクラスを掛け持ちし、毎日「伊藤サムの英語のプロになる特訓」(http://homepage1.nifty.com/samito/book.pro.htm)でシャドウイングしながら自転車を漕ぎ、Big Bang TheoryのDVDを毎晩繰り返し視聴し、パーティーがあれば必ず参加して英語を話さざるを得ない場所に身を置くことを自分に強制し、「留学の恥はかき捨て」とばかりに数限りない恥をかいても、2012年4月の後期セメスター終了時までに英語で意見を言えるようにはならなかった。
ところが大学の授業が終わってしまった2012年5月頃から、病院に調査に出かけていってインタビューしても友人たちと談笑していても、以前ほどはストレスを感じなくなった。思ったこと感じたことが、ある程度は口をついて出るようになっていた。「(大学)留学は2年後こそ意味があると言われている」そんな話を渡米したばかりの頃、日本人クラスメイトから教えてもらった。あれはこういうことだったのかと思いつつ、経済的その他諸事情により留学期間を1年半以上に延ばすことは叶わなかった。
それ以来、僕の英語スピーキング力が飛躍したことはない。帰国してから英語を話すことがほとんどない生活になったのだから、当然と言えば当然だろう。ときどき音読やシャドウイングをして口の筋肉をストレッチしないと英語の発話すらおぼつかなくなる。
ところが昨年、大阪に遊びに来てくれたアメリカ人の友人と話していたとき、ずいぶんスムーズに英語を話すようになったねと言われた。帰国してからの英語に触れる機会と言えば、海外ドラマとインターネットサイトの視聴くらい。英語を話す機会がなくても、そういったことの積み重ねが今も少しずつスピーキング力を向上させてくれているのだろう。
ベルリッツ梅田校に通っていたとき、シニアディレクターが語学学習はとにかくトレーニング、繰り返しだと教えてくれた。語学も含め学習はスポーツと同じで、本番でも半ば無意識に体が動くところまでトレーニングを積み重ねてやっとものになる。語学学習におけるシャドウイングは、球技における素振りや格闘技における打ち込みのようなものだろう。ただしトレーニングは正しいフォームと正しい方法で行わないと成果が出ないし、むしろ悪い癖がついてしまって有害だ。カタカナ発音で英語学習するのがその最たるものだろう。
星の子スイミング(京都市上京区)で大人に正しいフォームと泳法を身につけさせるプログラムに触れた。平均以下の運動神経でも安全確実に成長できるよう練りに練っているプログラムを用意した柏秀樹さんのライディングスクールのおかげで、バイクの運転技術にそれなりに自信が持てるようになった。Ralph Gracie Academyでは、ブラジリアン柔術の洗練されたトレーニング方法に感銘を受けた。
それらのスポーツと同じく、無意識に法的思考ができるようなところまでトレーニングしないと司法試験には合格できない。しかしそのレベルには、正しいフォームとプログラムで訓練を積み重ねないとなかなかたどり着けない。正しいフォームと正しいトレーニングをできているかどうか見極めるメルクマールとして一番わかりやすいのは「やってて楽しいかどうか」だという結論に、上記の様々な経験を経て達した。どんなに辛くて苦しいトレーニングでもその方法が正しければ、どこか楽しいという感覚がある。そこに成長の実感が伴うからだ。逆に全く楽しくなければ、それは方法が間違っているのであり、悪い癖が付くのでむしろ有害だろう。
英語学習における正しいフォームと方法、それは僕にとっては伊藤サムさんの書いたテキスト類とBig Bang Theoryその他の海外英語ドラマの視聴、そしてそれらを使ったシャドウイングの繰り返しだった。何よりこれらは楽しかった。
1年半どっぷり英語漬けだった留学中ですら小飛躍がやっとだったので、今後の自分にブレイクスルーが訪れることは恐らくないだろう。でも今もまだ少しずつ進歩していることはかろうじて実感しているので、このままやっていこうと思っている。
とはいえ、打ち込みだけやっていても試合で技をかけられるようにならないのと同様、シャドウイングだけでは話せるようにはならない。「実践」の場があればベストなんだろうけど、日本で普通に暮らしているとそんな機会もなかなかない。そこでやむなく「この場面でこういうことを言いたいときアメリカ人なら何て表現するだろうか?」と思考する訓練を意識的に続けているけど(柔道の乱取りみたいなものか?)、それはまた機会を改めて。
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